米クアルコムは、年3回開催される技術サミットの締めくくりで、いくつかの新しい「Snapdragon」チップを発表した。1つは拡張現実用、もう1つはラップトップ用だ。
クアルコムは、新しいチップが世界初の5G対応の拡張現実プラットフォームであると主張しているため、2つのカテゴリのうち、新しい複合現実に焦点を当てたSnapdragon XR2は、より注目度が高い。

拡張現実とは、拡張現実・仮想現実・およびその間のあらゆるものを表すために使用される用語だ。
クアルコムがSnapdragon XR2で重視しているのは、特にVRデバイスとARデバイスの境界があいまいになるにつれて、次世代ヘッドセットをサポートするためにチップをどのように調整するかだ。
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XR2についてはクアルコムは、片目あたり3,000 x 3,000の解像度と、最大90hzのリフレッシュレートを備えたヘッドセット、または最大8K 60 fpsの360度ビデオをサポートするなど、チップの性能が大幅に向上すると発表している。
この解像度は、2016年のSnapdragon 835チップに基づいており、片目あたり1,440 x 1,600の解像度と、わずか72 Hzのリフレッシュレートを特徴とするOculus Questのような現在のスタンドアロンVRデバイスからの大幅な改善を意味する。
5Gを含めることで、クアルコムはひとつの青写真を描く。複合現実コンテンツを、クラウドからモバイルヘッドセットにストリーミングする機能だ。これはオンボード・コンピューティングパワーに完全に依存することを避けられない。
Snapdragon 865の時と同様に懸念される点は、これらのすべての機能が印象的で、非常に未来的であるように聞こえる一方で、クアルコムが独自のコンシューマーまたはエンタープライズ向けにヘッドセットを製造する予定がないということ。
つまり、このチップを使用してその機能を利用し、それらを実際に購入したいデバイスに変えるのはデバイスメーカー次第となる。
一方、ラップトップでは、クアルコムは、Windowsベースのノートブックで使用するために設計されたSnapdragonチップのポートフォリオを強化しようとしている。 新しいSnapdragon 7cおよびSnapdragon 8cだ。
Snapdragon 8cxは、Microsoft Surface Pro XやSamsung Galaxy Book Sなどのシステムで何らかの形で使用されている。
Snapdragon 7cは、競合チップと比較して25%優れたパフォーマンスと2倍のバッテリー寿命を備え、4G接続が組み込まれたエントリーレベルのデバイスでの利用をめざしている。
Snapdragon 8cに関しては、クアルコムは、主流のラップトップ向けに設計されたチップを使用して、目標をわずかに高く設定した。 この新しいチップはSnapdragon 850よりも50%高速であることに加えて、より強力なGPUと、わずかに高速なX24 LTEモデムを内蔵している。
しかしながら、これらのチップはハードウエアを構成する一部分にすぎないので、Surface Pro X上のOSやソフトウエアが満足に動かない(だれも気にしないが)ことは、Snapdragonを搭載しているWIndowsマシンの悩みだ。
しかし少なくとも、新世代のチップは将来、より優れたヘッドセットとラップトップの新たな可能性を開くかもしれない。これらのチップを搭載したデバイスは、少なくとも2020年半ばまでは登場しないと予想されており、それを実現するのはデバイスメーカー次第だ。
複合現実は5Gのキラーになることは間違いないので、こういったチップの搭載されたデバイスが僕たちの体験をよりリッチにしてくれる日を楽しみにしたい。
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